Starlings Of The Slipstream

今日もどうもありがとう ほんとにいい日だった

2012年 年間ベスト(音楽編)

ようやく12月に購入を予定していたCDを聞き終えたので、鉄は熱いうちに某と、どうしても義務感が先行してしまう年間ベストです。

さてさて昨年はアイドル・ポップスを今までに無いほどに消費した(文字通り消費した)一年でしたが、今年はその寄り戻しが一気に来てしまったのか、デトロイト周辺のダンストラックや、ようやくポスト・ダブステップを消化するに至り、それに加えて岡村ちゃん復活、小沢健二東京コンサート、達郎さんソロデビュー35周年と、自分が最も敬愛する3人のミュージシャンの活動が偶然にも時期を同じくし活発化、再発やらBOXやらを買い漁った(お布施した)結果、ナチュラルに原点回帰を図ることが出来た一年だったように思います。

 

【2012 Released Album TOP 10】
01.田我流 - B級映画のように2
02.El-P - Cancer 4 Cure
03.Frank Ocean - Channel Orange
04.Falty DL - Hardcourage
05.ACTRESS - R.I.P
06.Cooly G - Playin' Me
07.少女時代 - GIRLS' GENERATION II ~Girls & Peace~
08.OGRE YOU ASSHOLE - 100年後
09.Shackleton - Music for the Quiet Hour/The Drawbar Organ EPs
10.Kyle Bobby Dunn - Bring Me the Head of Kyle Bobby Dunn

 

その結果として……かどうかは事実余り関係ないのでしょうが、詰まる所少女時代に行き着いてしまう辺り、何とも面倒臭がりな……いや軽薄な面が出てしまったと反省する一方で、肥大し過ぎた楽曲派の期待をよそに些か八方美人になりすぎたトマパイ『PS2U』と、"大人になんかなりたくない"という歌詞とは裏腹に洗練されすぎてしまった女子流『Limited Addiction』と比較するに、(当然比較対象として幾分適切でないのは承知の上で)少女時代は一枚も二枚も上手だなと感心してしまったのが正直な所であります(前作もそうだったけれど12曲40分という無駄のない楽曲のパッケージが素晴らしく、音は全く違うのにロネッツやシュプリームスとかと同じ耳で聴ける、文字通りのポップ・アルバムという感じでしょうか)。……しかしあれですね、地方アイドルが生き長らえるために少しずつ楽曲派寄りにシフトしていく一方で、7年も続いているAKBがあっちゃん脱退後にすぐUZAみたいなベース・ミュージック基調の曲をやられると、それってあからさま過ぎないか?と思っちゃう一方でグッと来ちゃうんですよね、でもその後は八百長センター構えて重力シンパシーみたいな曲やっちゃうわけで、ホントにそういう抜き差しがAKBグループは上手い。

と、10枚も列挙しておいてここまでアイドルの話しか書いてないと云うことに気付くわけですが、今年そこまで熱を入れたレコードは田我流とエル・ピーという二枚の全く異なる洋邦ヒップホップ作品であって、更に言うと、今年の日本語ラップは田我流とSALUに尽きると言い切ってしまえると思います。

これはシンゴ西成の時にも思ったことですが、彼や田我流のような、自分の生活するコミュニティから上がってくる不平不満に真っ向からぶつかり合いそれを内面化し、自分の言葉として表現することに成功した(中上健次的な手法を取った)ラッパーは、開き直ってから家族愛や人生讃歌に走るまでが最高に格好良いというのが僕の持論であって、田我流の丸腰で、恥をかくことを厭わず正面切ってラップする姿勢には色々と希望や理想のような表面的なものではなく、もっとドロドロとした、卑しい"何か"を仮託したくなってしまうものなのです(これはMETEORには成し遂げられなかった事でもあるわけで……)。


【2012 Released Song TOP 10】
01.Todd Terje - Inspector Norse
02.Andres - New 4 U
03.M.I.A. - Bad Girls
04.乃木坂46 - おいでシャンプー
05.Kendrick Lamar - Bitch, Don’t Kill My Vibe
06.吉谷彩子 - 恋のオーケストラ
07.SALU - Rebirth
08.El-P - The Full Retard
09.Stylips - Honey Groove
10.Burial - Kindred

 

結構これはガチで選んでいる感があって我が事ながら笑える。

それにしてもトッド・テリエの久方振りのシングルは群を抜いて傑作でした(僕はこの路線をカイル・ホールがダーティにやってくれると信じてたのですが……)。
その他、北川勝利ワークスでもSing A Songやシンフォニーを遥かに超える名曲となった謎の彼女XOPの華々しさ……乃木坂46おいでシャンプーは、まさに僕らがアイドル・ポップスを聞く理由を体現したかのような曲。そして大穴、アイドル声優はK-POPの夢を見るかと挑発されたかのようなStylipsのB面曲、これには流石に度肝を抜かれました。全く期待してなかったので。

しかし結局今年一番聴いたのは"ゆれる feat.田我流"で、一番聴いたEPもFloating Pointsの"Shadows"だったので、何となく説得力に欠けるのは否めないんですよね……お後がよろしいようで。