Starlings Of The Slipstream

今日もどうもありがとう ほんとにいい日だった

2011年 年間ベスト

もう年末だ。今年一年は特に早かった。ふと思い返してみると、何だか躁/欝と両極端なムードに振りきれる事が多く、新しいものに対してのしっかりとしたスタンスが、ほとんど保てなかった一年だった。だからこそ、これほどまでにアイドルに熱中した1年は無かったと思うし、そんな「アイドル戦国時代」なんていうアホ臭い狂騒の中にまみれて、自分を右へ左へシフトさせていくというのがとても心地良かった。


【2011 Released Album TOP 10】
01.JAMES BLAKE 『JAMES BLAKE』
02.坂本慎太郎 『幻とのつきあい方』
03.Blu 『Noyork!』
04.THE WEEKND 『HOUSE OF BALLOONS』
05.Evidence 『Cats & Dogs』
06.砂原良徳 『Liminal』
07.ASAP Rocky 『LiveLoveA$AP』
08.Elzhi 『Elmatic』
09.Omar-S 『It Can Be Done, But Only I Can Do It』
10.ONEOHTRIX POINT NEVER 『REPLICA』


ジェームス・ブレイク、本当に素晴らしい作品でした。一人で部屋に引きこもる少年の孤独を荷担してくれるような音楽ではなくて、傍に寄り添うことなく、気づけば幽霊のように消えていってしまうような、非常に距離を取りづらい作品。まぁ、あんなセクシーな風貌で、"君の愛には限界がある"って歌っちゃうようなデカダンだし。絶望の淵で"ハウ・トゥ・ディサピアー・コンプリートリー"と歌ったトム・ヨークとはある意味真逆だなぁと。

3位のブルー、7位のエイサップ・ロッキーは、OFWGKTA周辺以外で注目しているラッパー。それにしても、アメリカのフリーミックステープから広がるヒップホップ・シーンはどんどん面白くなっていきますね……いやはや、ドレイクみたいな歌謡曲は今更聴きたくないし、カニエの大言壮語なトラックはもう懲り懲りなわけで(しかし、ロック中心のメディアはドレイク評価してたんだよなぁ……)。

それと、まりんみたいなドリーム・ポップを奏でていた人が、10年間でここまで変わってしまった、というのは凄く衝撃的でした。いやお前もう、それはバッハ!って言えないじゃん、っていう。しかし、「震災以降」をキーワードにしていた日本のアーティストも多かったと記憶しているけれど、電子音楽という明確な言葉を持たない、まりんの本作が一番社会的なレコードに感じた、ってのはちょっと残念。今、ギル・スコット・ヘロンの"ウィンター・イン・アメリカ"みたいなレコードが出てこないようじゃダメでしょ、と。今の状況シベリアでしょ、って。唯一引っかかったのは前野健太だったけれどあれは震災以前の発表だったし……。

あとは……エヴィデンス完全復活おめでとう!僕は相変わらずあなたの無駄のない、確信しか歌わないラップが大好きです。ダイレッテッド・ピープルなんていう共同体組織はどうでも良いので、単独で来日しましょう。


【2011 Released Song TOP 10】
01.Tomato n' pine "ワナダンス!"
02.Shlohmo "Places"
03.Tatuki Seksu "口笛ジェット(Shoegaze Arrange)"
04.Greneberg "Sewer Gravy"
05.トリプルH "魂こがして(cover from ARB)"
06.ASAP Rocky "Keep It G Feat. Chace Infinite & Spaceghost Purrp"
07.Mark Fell & Peter Rehberg "Kubu"
08.Mount Kimbie "Carbonated"
09.東京女子流 "鼓動の秘密"
10.Sphere "Feathering me,Y/N?"


うっ、何かえらく俗っぽい。2位、LAのビートメーカー、シローモによる"プレイス"は、決して各メディアで大きく取り上げられた作品では無かったけれど、この最高のベッドルーム・ミュージックを、僕は何度もプレイし続けた。10位のスフィアは、全国のキャンディーズ好きを唸らせた(本当か?)昨年度の"かってな成長期"に続いてどストライク。パフュームの100倍良い。Grenebergについては、ザ・アルケミスト + オー・ノー + ロック・マルシアーノという間違いない組み合わせで、音源も素晴らしかったので是非聴いて欲しい作品。それとマーク・フェルとレーバーグの合作とか全然期待してなかったけど、コルトレーンの『アフリカ/ブラス』をグリッチでやってしまったような曲(大雑把)で度肝を抜かれたし、相変わらずどんな出会いがあるのか分からないな、と。こう見ると、曲の方がやはり明確にパーソナリティが反映されますね。でも、今年はこれだけで十分でしょう。ワナダンス!最高!!!!!


さて、来年のランキングには、ディアンジェロとザ・アヴァランチーズと緑の五本指の名前が並んでいることを祈って。


Gil Scott-Heron "Winter in America"


R.I.P. The Grate Poet