Starlings Of The Slipstream

今日もどうもありがとう ほんとにいい日だった

ベスト16

ブラジル対チリ

走るセレソンとは言え上手くいかない時は何をやっても上手くいかないというのがよく分かる試合だった。負けたら終わりという時期に差し掛かった今、開催国であることはもはやアドバンテージではなく、声援は脅迫と紙一重なのだろう。チリはGLと同じく一貫しており、勤勉であった。ブラジルの唯一のウィークポイントであるマルセロとルイスの裏を徹底的に狙い続け、攻撃の起点であるマルセロを右のイスラが封じる。フェルナンジーニョとグスタヴォは攻撃面での貢献が少なくオスカルが孤立し、真ん中は固すぎるので結局オスカルを飛ばしてロングボール頼みに。ネイマールが下りてくれば少しはボールが回ったかもしれないが、中央にメッシはおらず豚化したフレッジなのでそれもあまり怖くない。

チリは時計が進む時間はほとんど上手く行っていたが、サンチェス以外でボールをしっかり収められる選手がいなかったのと、戦術が通用する120分で相手を仕留められなかったのが敗因か。最後のジュリオセザールのアレはインテル3冠時代を彷彿とさせた。

オランダ対メキシコ

戦術RVPあるいはロッベンマルケスが統率する3バックは決定機を許さず守り切り、エースのドス・サントスの一閃で一度はベスト16の高い壁を超えたように見えたが、ファン・ハールはやはり凄かった。イレギュラーで設けられた後半30分の給水タイムが大きく、あそこで正確に指示が出せたお陰でシステム変更がスムーズに。しかし、最低限コーナーに持っていく=前がかりの状況でカウンター食らわないようにする、あの一番苦しい時間帯にそれを実践できるカイトの存在の大きさ。日なたから日なたに移っても、ポジションが目まぐるしく変わっても、90分間誰よりも走る、走る、走る。

メキシコ人の誰よりも勤勉であったカイトが取ったコーナーキックから、頭上のフライング・ダッチマンから位置を操作されたとしか思えないほどにメキシコ人は無言で道を空け、スナちゃまがそのゴールへと引かれた線が見えていたかのように鮮やかにブチ抜く。2日連続インテル3冠の功労者の活躍。もうほとんど夢見心地である。そして、これまではロッベンもデパイもメヒコのマーク2人+1人余らせるディフェンスでスペースなくて抜き切れなかったが、カイトが前に出たことで微妙にズレた結果としてロッベンがいつものアレ。あぁ今は2004年なのか2010年なのか。そのPKをスナちゃまでもロッベンでもなく、これまで序列が下がっていたフンテラ師匠が決めたのはこの先勝ち上がる事を考えると大きい。しかし何よりスナちゃまもゴール後はまずデヨングの所に行き、フンテラ師匠はフラッグにカンフーキック。これだよこれ!

どちらの試合も本当に面白かったし、全体を通すと敗戦チームの方が明らかに良い試合をしていたが、それが決して報いを受けるわけではないというフットボールの非情さをよく表していた試合だった。それにしても、敗戦した2チームともに完成度の高いお手本のような3バックだった。攻撃の時は広くワイドに開いて質の高いパスを前に入れ、守備の時は5バック気味で数的優位に立ってスペース潰し、その勤勉さのささやかな報酬としての少ないチャンスで確実に相手を仕留める。果たして日本がこれを出来るのだろうか。まぁ今の現状見るとアギーレよりミシャの方が合ってるんじゃないかと思ったりもする。アジアで苦戦しそうだけど。