Starlings Of The Slipstream

今日もどうもありがとう ほんとにいい日だった

2015年 年間ベストアルバム

10.Kode9『Nothing』

09.Kelela『Hallucinogen EP』

08.Levon Vincent『Levon Vincent』

07.Soichi Terada『Sounds From The Far East』

06.Deerhunter『Fading Frontier』

05.cero『Obscure Ride』

04.Brawther『Endless』

03.Pizzicato One『わたくしの二十世紀』

02.DJ Richard『Grind』

01.Kendrick Lamar『To Pimp a Butterfly』

次点(順不同)
・Jamie xx『In Colour』
・Jam City『Dream A Garden』
dCprG『Franz Kafka's South Amerika』
ボ・ガンボス『BO & GUMBO 2014 MIX』
・KOHH『DIRT』

今年も何とか捻り出すことが出来たが、何とも予定調和な感は否めない。発泡酒をカゴに詰めるような軽い気持ちでワーナーやユニバーサルの1,000円+税シリーズを買い、フォー・シーズンズとアイズレーの20枚前後のBOXセットを聴き続け、イースト・ウインド、JB、泉谷、ショーケン、プーさん...etcの再発にお世話になった男の2015年の年間ベストなど一体何の参考になるのだろうか。それに加えて、恐らく今後10年は語り継がれるであろう畑亜貴の最高傑作"ノーポイッ!"をひたすら聴いていたら千夜ver.で感極まってしまった始末である。そんなどうしようもない状況の中でも、今聴かなければならないと強く思わされたのはセロであり、どういう因果かはたまた皮肉かはわからないが、ピチカート・ワンであった。「私の声が聴こえる?」という歌詞で始まる『わたくしの20世紀』は、無数の声が視覚化された現代における有用性を片時も手放していない。

それにしてもクラブ・ミュージックのアーティストの所謂フル・レングス・アルバムというのは分からないもので、まさか自分がDJリチャードのアルバムをフローティング・ポインツのそれよりも聞き好む事になるとは夢にも思わなかった。これまでエクスペリメンタルというジャンルに位置づけられる事が多かったDJリチャードのアルバムは新鮮味という観点では見劣りするが、かつてデトロイト・テクノに熱狂した人間であれば諸手を上げて賞賛するはずの作品である。しかしこれと同様に、ホワイト・マテリアルというレーベルが現在のクラブ・ミュージックの先鋭的な部分を最良の形で表象することに一役買っているのは疑いようがない事実ではあるが、これからリリースが予定されているであろうガルシエ・ラストワークのアルバムにも慎重になる必要があるという事なのだろう。

Are You UR?


うーん、無理してでも行けば良かったかな……冒頭のリズム感皆無な観客の手拍子はいただけないけど。
新アレンジの"Jaguar"は昨年見た時よりも確実にパワーアップしている印象(4:30からのJon Dixonの鍵盤!)。2011年に初来日した際のTimelineは劣化G2Gでしかなかったけれど、ミニマリズムへの接近を経てすっかり一つのユニットとして完成しつつある。活動休止中のG2Gでの来日は難しそうなので次の機会は逃さないようにしたい……

それにしても川崎公演では2時間で"Hi-tech Jazz"を演らなかったらしいと聞いて驚き。"Light My Fire"のPVで引用されてた「This is not Techno,this is Hi-tech Jazz」というメッセージの体現ということなのか、はたまたMad Mikeおじさんのきまぐれなのか。それ(だけ)を聴きに来てる客も多かろうに。それに比べると無銭で"Jupiter Jazz"まで披露した去年のTodaysArtはサービス精神旺盛だったなぁ(客も少なくて快適だった)。あの曲のアウトロにDe'Sean Jonesのラフなサックスが乗ると恐ろしく格好良いんよ……

ところで今秋UR新作リリースがあると聞いてたんですがまた流れたんですかね。

ジャン・ルノワールあるいは山田尚子(あるいは三好一郎)

雄弁な背景と真っ向から対峙するかのごとく度々挿入される久美子のモノローグはより散文的である必要があったし、彼女が走り出してから回想に至るまでのシークエンスは余計な音を添えず、彼女の横を無機質に往来する車のエンジン音に全てを任せても良かったと思える。とは言え、そこで大胆に用いられる平行移動したカメラで被写体を追っかけ徐々にクローズアップさせていくような手法を紋切型に否定はしないし、その一連のカットが久美子の内面に限りなく肉薄していることを見逃すほど我々は愚かではないだろう。

我々が第12話において注目せねばならないのは、他でもない久美子の日陰での練習風景である。過剰なまでの被写界深度の浅さと光と影のコントラストが支配する―――物語の中心が絶えず残酷に峻別され続けるこの『響け!ユーフォニアム』において、今の自分はその光に相応しくないと言わんばかりに一時的にそれから逃れることに成功した直後の、日陰からいま一度ユーフォニアムを吹こうとする久美子と、その視線の先にある太陽光が拡散反射した新緑を同時に捉えたあの瞬間。そして、この未来を象徴する「緑」は、椅子に座る久美子から見上げる構図で来訪者である高坂麗奈と当然のように重なり合う。中断を挟み反復として描かれる二回目の練習は、久美子の内面を反映するかのごとく、硬質的なコンクリートを背景として再開されるが、麗奈の再度の登場により再び光を取り戻し、今度は「緑」と二人が同時に収められる。その一連のカットの息を飲むような美しさだけで、我々がこの作品を擁護するには十分ではないか。

すべては終わったのさ、ベイビー・ブルー

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残2節で首位PSGとは勝ち点差6。数字上逆転は不可能ではないが、得失点差7を考えると話は簡単ではない。年明け以降冷静さを失っていたパリもCLチェルシー戦の逆転勝利がなければここまで復調しなかったと思うのだが……こうなったら何とか2位でCL出場権を得てシーズンを終えたい。

忘れてはいけないのは、この優勝争いを演じたチームの多くの面々がアレクサンドル・ラカゼットをはじめとする下部組織からの昇格組であったという事実であり、つまりはこの数ヶ月の狂騒がマネーゲームにより手繰り寄せられたものではなかったということである。資本主義が蔓延した現代のフットボールに、時代遅れの美学が介入する余地がまだ残されていることを示せたのは誇らしいことである。翌シーズンの事は、ひとまず忘れる必要があったとしても。

2008-09は順調に優勝争いから脱落し(終盤の話題と言えば偉大なるNo.8、ジュニーニョ・ペルナンブカーノの去就と彼のリーグ通算100得点だった)、2009-10は2位で終えたものの後半戦はOMの独走により可能性を感じなかったので、終盤までもつれ込む優勝争いをしたのは2007-08振りだろうか。ご存知の通り、それは記念すべき7連覇の最後のシーズンである。あぁ、それにしてもここまで長かった……

しかしニース戦のピュエルといい今節のヴェルクトルといい古巣にしっかり恩返ししやがりますね。